パッシブ技術研究会とは、パッシブ換気の温暖地・蒸暑地への普及を目指し、関東以西(関東から九州)において現実的で自然の力を上手く取り入れた住宅づくりを目指しています。

インフォメーション-パッシブ技術研究会

7月勉強会報告

2015年8月12日
さる7月22日、AGCスタジオに於いて、「誰でも出来る設計支援ツール「涼暖ナビ」と夏のパッシブ」~自分で出来る提案ツール。力をつけよう提案力~というテーマで勉強会を開催しました。
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まず最初に会場を提供いただいた旭硝子さんからショールームの見学と説明を頂きました。住宅用と言うよりは商業系が中心なのですが、逆に知らないこともあり、皆さん興味深く見学されていました。
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続いて第一部で保健医療課学院の林先生により「環境性能設計支援ツール「涼暖ナビ」を活用しよう」と題した講演がありました。開発の背景や出来る事等説明を頂き、その後パソコンを操作しての実践を行いました。最近この手のシュミレーションは、かなり詳細に計算が出来るようになりましたが、逆に入力がとても複雑になってしまっていました。
比較的簡便な入力でコストシミュレーションまで出来るこのソフトは、お客様とのコミュニケーションツールとしてはとても扱いやすく、特に開口部の設計や断熱材とのバランスを簡単にシュミレーションできる事や、イニシャルコストとランニングコストの検証も出来るため、施主さんと色々な検討するのにとても解りやすく秀逸なソフトです。
災害復興支援の基金で作られているのでフリーであるというのも大変魅力です。機会があれば今後当会でも普及のお手伝いができればと考えています。
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続いて第二部では北海道科学大の福島先生に寄る「夏のパッシブ!窓を使った夏のくらし〜外気涼房と窓〜」というこれまた興味深いテーマで講演いただきました。
一般的に通風というと直接風を取り入れることがイメージされますが、ちょっと建物があったり、風向が変わるだけで思惑通り行きません。しかし昔から立て込んだ町家では横の通風は無理なことから、中庭や緑を利用した揺らきで暑さをしのいでいた例から、横の通風ではなく縦の通風を活用しようという内容でした。
具体的には夏のパッシブとして高窓を利用して熱対流換気を行い、夜間は外気が下がるので、その高窓から冷気が降りきて外気涼房が可能となる事、昼は逆に熱い空気が入ってきて大丈夫なのかという疑問に対しては、実は熱の階層が出来るため、外気は外気温と同じ温度のところまでしか下がらないので大丈夫との事でした。また、フラット天井より斜め天井のほうが排熱に熱溜まりが出来ないので有利であること等とても興味深い内容の講演となりました。
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参加者皆さんからの評判も良く、すぐ実務に活かせる内容とでした