パッシブ技術研究会とは、パッシブ換気の温暖地・蒸暑地への普及を目指し、関東以西(関東から九州)において現実的で自然の力を上手く取り入れた住宅づくりを目指しています。

インフォメーション-パッシブ技術研究会

NPO法人パッシブシステム研究会において、11月に「パッシブ換気住宅の設計ポイントと太陽熱利用の可能性を学ぶ」というテーマで勉強会が開催されました。
下記に記事をご紹介します。http://pv-system.jp/activity_report.html
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 去る11月14日に平成26年度第2回会員向けセミナーが札幌市内で開催され、当会会員のはるす工房・高杉昇さんに「パッシブ換気住宅の設計と実践」、北海道大学大学院工学研究院助教の菊田弘輝先生に「パッシブ換気住宅の測定結果から見た今後の可能性」を講演して頂きました。

 最初に講演した高杉さんは、パッシブ換気の特性として室内の軽い空気の浮力を主な動力とし、常時換気・計画換気が可能であること、室内の温度環境を損なうことなく給気の予熱ができることなどを挙げ、続いて設計換気量の確認方法や、室内の空気循環の開口面積の設定、確認申請図面の記載方法などを説明。これからパッシブ換気に取り組む会員にとってはもちろん、すでにパッシブ換気の採用実績がある会員にとっても参考になる講演となりました。

 次に講演した菊田先生は、新鮮外気を太陽熱で温めて室内に供給する壁付け太陽熱集熱パネルを設置したパッシブ換気住宅の温熱環境測定結果を中心に説明。測定したのは2年前に札幌市内で建てられた延床面積約41坪、熱損失係数=Q値0.94Wのパッシブ換気採用住宅で、当会賛助会員の(株)マツナガが輸入販売する太陽熱集熱パネル「ソーラーウォーマー」を1階外壁面に設置し、集熱した太陽熱で新鮮外気を加温した後、ダクトを通じてファンで床下空間へ供給する仕組み。竣工1年目の10月から半年間、各種データ取りを行ったところ、12月は外気温とパネルからの給気温度との差は平均20℃、最大27℃となり、1日の取得熱量は平均2.1kWhという結果になりました。菊田氏はこの結果を踏まえ、「冬期より春・秋の端境期のほうが、補助暖房として暖房負荷削減に果たす役割が大きくなる」と話しました。

 このほか菊田先生は、薪ストーブを採用したパッシブ換気住宅の温熱環境や一次エネルギー削減効果なども紹介。参加した約30名の会員は熱心に耳を傾けていました