広義のパッシブ技術は,建築の備える機能として,外界の影響を小さくして,よりよい屋内の環境を目指すことから始まったと言えます。
従来は,たとえば換気については,たえず変動する風圧や屋内外の温度差によって,気密性の低い外壁を通じて,その風量が大きく変動しました。
現在は,断熱性や気密性,また設備の性能が高くなったことから,従来のような成り行きでなく,意図した制御ができるようになってきました。
現在のパッシブ技術は,とくに我が国の北海道や欧州で発達してきたものです。また国土交通省による『自立循環型住宅への設計のガイドライン』などに記されている温度差換気システムのように温暖地でも十分な可能性があります。
温暖地でも断熱性能がより高くなれば,より少ないエネルギーで住宅全体の暖房ができ,また外気を住宅全体に分配することも,より効果的にできるようになります。くわえて高性能な住宅では,夏期夜間や中間期における通風もコントロールが容易になると考えられます。
本研究会では特に事例測定と,その解析を通じて技術の検証と普及に貢献したいと考えています。また,その成果は様々な形で社会への反映を目指したいと考えています。